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野地板は屋根材と防水紙の下の超重要部分、張り替えと増し張りでより強く
屋根の最重要部分でありながら、それほど目にする機会もなく、耳にすることもないのが野地板です。表面の屋根材、その下の防水紙、その下にあるのが野地板で、防水紙や屋根材の土台となっていることを考えれば、かなり重要な部分であることはお分かりになると思います。
また、メンテナンスしにくい部分に位置であり、手を入れる機会が限られていることも理解できると思います。だからこそ、メンテナンスをするチャンスがあった場合は必ずお手入れをしてあげなければいけない部分なのです。
また、メンテナンスしにくい部分に位置であり、手を入れる機会が限られていることも理解できると思います。だからこそ、メンテナンスをするチャンスがあった場合は必ずお手入れをしてあげなければいけない部分なのです。
屋根リフォームを進める上でぜひ知っておいてほしい超重要部分「野地板」
屋根の葺き替えなど大規模なリフォームをする上で、お客様が最も気にされるのは屋根材です。外から見える部分であり、建物の雰囲気も変わるから当然ですよね。
建物内部に雨水を染みさせいない防水紙についても、その重要性から何度もご検討を重ねる方が多くなります。
ところが、屋根材と防水紙のさらにその下にある野地板となると、最重要部分でありながら、初期の段階ではあまり興味を示してくれない方も多いのです。
建物内部に雨水を染みさせいない防水紙についても、その重要性から何度もご検討を重ねる方が多くなります。
ところが、屋根材と防水紙のさらにその下にある野地板となると、最重要部分でありながら、初期の段階ではあまり興味を示してくれない方も多いのです。
理由はさまざまなことが考えられますが、「野地板」と聞いてもどこを指しているか全く見当がつかないことが大きいのでしょう。
野地板は屋根の最重要部分であるから、役割やメンテナンス方法を知っておいても損はないのです。
野地板は屋根の最重要部分であるから、役割やメンテナンス方法を知っておいても損はないのです。
前述のように防水紙が敷かれており、屋根材が固定されている部分です。屋根材が葺かれている下にはほぼ必ずこの野地板が存在することになります。
屋根と呼ばれるところには必ずその一部として野地板があるのです。
語源的には「野地の板」ではなく、「野(目に見えない部分)の地(下地)の板」という意味だそうです。
屋根と呼ばれるところには必ずその一部として野地板があるのです。
語源的には「野地の板」ではなく、「野(目に見えない部分)の地(下地)の板」という意味だそうです。
屋根の一部であり、必ず防水紙と屋根材と野地板のセットになっている
図を見てくれるのが一番、分かりやすいと思います。屋根の表面に屋根材、その下に防水紙、そして野地板と一般的な屋根ではこれらが必ずワンセットになっています。屋根材や防水紙が欠けたら雨水がそのまま浸入してくることになりますし、野地板がなければ屋根材や防水紙を固定することができません。
垂木と防水紙と屋根材の間を取り持つ超重要部分
野地板自体は垂木に固定されています。屋根材と防水紙は野地板に固定されています。この構造から分かるように、垂木と防水紙・屋根材の間に存在し、それらを結びつけることで屋根を成立させているのです。これらのパーツが1つでも欠けたら、屋根は成立しません。その中でも表面と屋根材と防水紙、内部の垂木、これらを繋ぐ野地板は特に大事な部分と言えるでしょう。
実際のところ、屋根材にはほぼ雨が染みませんし、防水紙にも当然のことながら雨水は染みません。屋根から雨漏りが発生した場合、最初にダメージを受ける可能性が高いのが野地板なのです。野地板に染み込んだ雨水は垂木や天井といった周辺に伝わっていき、カビを発生させ、木材を腐食していきます。
実際のところ、屋根材にはほぼ雨が染みませんし、防水紙にも当然のことながら雨水は染みません。屋根から雨漏りが発生した場合、最初にダメージを受ける可能性が高いのが野地板なのです。野地板に染み込んだ雨水は垂木や天井といった周辺に伝わっていき、カビを発生させ、木材を腐食していきます。
野地板は耐震性や耐風性といった部分も受け持ち、屋根の構造を支えている部分ですから、雨漏りなどは絶対に避けなければなりません。野地板がしっかりしていれば、屋根だけでなく家もしっかりしてきます。頑丈な建物というと基礎や柱に目が行きがちですが、実はその上の屋根も頑健さに大きく影響してくるのです。
野地板の種類
野地板を見ると単なる幅が広い1枚の木の板にしか見えないかも取れませんが、建物の建てられた年代や地域によってさまざまなものが使われています。ここでは代表的なものを挙げていきます。
構造用合板(構造用パネル)
耐震性や耐風性を求める部分に用いられることを前提に作られた合板で、戸建て住宅の野地板として最も使用されているのが構造用合板です。さまざまなサイズや厚みのものが用意されており、等級も設けられています。
よく野地板に用いられるのは厚み12mmで、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドの放散量が最も少ないF☆☆☆☆(フォースター)のものです。構造用合板を用いた場合、建築構造用の強度証明をすることができます。
よく野地板に用いられるのは厚み12mmで、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドの放散量が最も少ないF☆☆☆☆(フォースター)のものです。構造用合板を用いた場合、建築構造用の強度証明をすることができます。
ほぼ同じ厚みと大きさのものでコンパネと呼ばれるものがあり、構造用合板と混同されていますが、用途は全く違います。コンパネはコンクリートパネルの略であり、コンクリート型枠として使用される合板です。構造用合板は建築構造用の強度証明をすることができる合板です。
バラ板(小幅板・荒野地)
築40年以上の建物に用いられていることが多いものです。名称でも分かるように隙間を設けられて設置され、それぞれが独立したバラバラの板で、屋根の一面を全面的に覆うものではありません。杉が使われることが多く、板の幅は約90~120mmで、通気と乾燥のためにわざと隙間が設けられていました。
現在では防水シートなどが進化し、湿気による腐食を気にすることがなくなったため、ほぼ用いられることはなくなりました。
現在では防水シートなどが進化し、湿気による腐食を気にすることがなくなったため、ほぼ用いられることはなくなりました。
街の屋根やさんでは野地板がバラ板だった場合、屋根の構造を強くするため構造用合板を増し張りをお薦めするケースもあります。
耐火野地板
準防火地域、防火地域、屋根不燃区域での使用が義務付けられている野地板です。名称からも分かるように火に強く、30分の火災に耐える野地板です。木片とセメントを混ぜ合わせて圧縮成型したものの他、燃えないロックウールなどと組み合わせたものがあります。
火災の時などに安全性が高い製品ですが、それなりに高価な製品です。
火災の時などに安全性が高い製品ですが、それなりに高価な製品です。
※画像はニチハ株式会社の耐火野地板まげのじくん(国土交通大臣認定30分耐火構造)
屋根の構造的な強さを増すための増し張りと雨漏りで腐食し、悪くなった部分を交換する張り替えがあります。
残念ながら、野地板のメンテナンスは屋根材と防水紙を剥がした時にしか行えません。もちろん、通常時に目視することもほぼ不可能です。屋根葺き替え、または屋根葺き直しの時にしかお手入れはできないのです。そういった機会を得ない限り、行えないのです。屋根葺き替え、または屋根葺き直しを行うときは必ずメンテナンスしてあげてください。
残念ながら、野地板のメンテナンスは屋根材と防水紙を剥がした時にしか行えません。もちろん、通常時に目視することもほぼ不可能です。屋根葺き替え、または屋根葺き直しの時にしかお手入れはできないのです。そういった機会を得ない限り、行えないのです。屋根葺き替え、または屋根葺き直しを行うときは必ずメンテナンスしてあげてください。
増し張り(重ね張り)
野地板がバラ板(小幅板・荒野地)だった場合などに行われる方法です。増し張りすることによって屋根の重量は重くなりますが、その重さ以上に構造的に強くなるので、地震や強風に対しても強くなります。また、屋根材を固定するところを新しくすることよって、屋根が剥がれにくくなる効果もあります。
張り替え(部分交換)
野地板が含水し、腐食している場合に行う方法です。腐食部分を放置すると拡がっていきますので、除去して新しいものへと交換します。また、野地板だけでなく、垂木なども腐食している場合はその部分も交換します。
野地板のことが気になりながらも、どうしていいか分からないという方は街の屋根やさんの無料点検をご利用ください。「小屋裏の点検もお願い」と一言おっしゃってくれれば可能な限り、小屋裏にも入って野地板を含めた点検を実施します。
野地板の耐用年数と屋根材別のメンテナンスの目安
野地板の耐用年数は構造用合板で約30年と言われています。通気性が高いバラ板の場合は約40年とも言われています。
化粧スレートの屋根が20~30年、セメント瓦の屋根が20~30年の耐用年数があると言われています。これらの屋根材では葺き替えをする際に野地板のメンテナンスをするのが理想と言えるでしょう。
粘土瓦は耐用年数が50年とも100年とも言われています。こちらは屋根材の寿命が尽きる前に野地板の寿命が尽きてしまいます。瓦屋根には漆喰が使われており、その耐用年数は15~20年と言われています。
棟瓦を一時的に撤去し、並べ直す棟取り直しなどのメンテナンスを屋根全体に拡大して屋根葺き直しとし、その際に野地板もメンテナンスするのが良い方法でしょう。最初の漆喰のメンテナンス時に野地板もメンテナンスするのはかなり早めとなってしまいます。2回目の漆喰のメンテナンス時期を早めにして、なおかつて屋根葺き直しとし、野地板をお手入れしてあげるのが理想的です。
棟瓦を一時的に撤去し、並べ直す棟取り直しなどのメンテナンスを屋根全体に拡大して屋根葺き直しとし、その際に野地板もメンテナンスするのが良い方法でしょう。最初の漆喰のメンテナンス時に野地板もメンテナンスするのはかなり早めとなってしまいます。2回目の漆喰のメンテナンス時期を早めにして、なおかつて屋根葺き直しとし、野地板をお手入れしてあげるのが理想的です。
野地板の耐用年数は雨漏りで極端に短くなります
建物の劣化を促進するのが水分であり、建物の内部に雨水が浸入する雨漏りは浸水箇所とその周辺の劣化を極端に早め、寿命を短くします。
屋根やその周辺が原因の雨漏りの場合、野地板に水が染みるケースが非常に多いのです。雨漏りが起こった場合、野地板などに悪影響が出ていないかを確認してください。
屋根やその周辺が原因の雨漏りの場合、野地板に水が染みるケースが非常に多いのです。雨漏りが起こった場合、野地板などに悪影響が出ていないかを確認してください。
屋根の上を歩くと野地板の傷み具合が分かる!?
野地板が傷んでいる場合、屋根の上を歩くとその部分は柔らかく、1歩1歩が微妙に沈み込んでいることが分かります。よく「フカフカしている」と表現するのですが、非常に嫌な感触です。この場合は安全を重視し、すぐに屋根から下ります。>
屋根の上を歩いて野地板の傷み具合を確かめようとする人はいないと思いますが、絶対にやめておいてください。
屋根の上を歩いて野地板の傷み具合を確かめようとする人はいないと思いますが、絶対にやめておいてください。
野地板の実際のメンテナンス例
雨漏りで腐食した部分の張り替え
使用屋根材 ガルバリウム波板(小波)
先祖代々、農業を営んでいるというお施主様です。結構な築年数の建物で、お施主様に聞いたところ、いつから建っているか分からない建物だそうです。小さい頃はこちらに住んでいたそうですが、同じ敷地内に新たなお家を建ててからというもの、こちらは納屋として使用してきたそうです。現在はそれほど農業を手広くやっているわけではないので、納屋としての意味も薄れ、そのまま放置していたそうですが、さすがに雨漏りが酷くなり、いろいろと収納しているものも多いので、メンテナンスすることにしたそうです。
点検の様子
農家の人というのは器用な方が多く、身の回りのことなら何でも自分でやってしまう方も多いですよね。それこそ、ちょっとした水田の水路の補修、竹細工から柵作り、農閑期のお家の補修など身の回りのことなら何でもこなします。お施主様がご両親から聞いた話だと、こちらの建物も基礎や壁、屋根などは最初に大工に造ってもらったそうですが、あとはご両親が自分で補修を重ねていたそうです。
こうして見てみると、トタンを二重にして屋根カバーがしてあったりといろいろとオリジナルな修繕がされています。長らく、納屋として使われていたというので中のものを傷めずに雨と風が凌げればいいという造りなのでしょう。
ご両親の跡をついだのはいいのですが、いつの間にか納屋も使われなくなり、植物にも侵食されまくっています。これ、観葉植物のアイビーでしょうか。元は植栽として育てられていたようですが、凄いことになっています。
野地板を張り替えての屋根葺き替え
現在、屋根材が幾重にも重ねられているのですが、錆や各所の隙間も多く、雨水をうまく処理し切れていない状態です。しっかりとした屋根にするため、すべて剥いでしまいます。
野地板や垂木と言った部分も雨水を吸収し、腐食しています。腐食している部分は全て取り除き、新しい垂木や野地板に交換していきます。建物の造りは簡素ながらも、かなりの大規模な屋根リフォームになりました。
新しい垂木の上に野地板を新設します。今回はバラ板ではなくて、構造用合板を使用しました。線ではなく、面にすることによって屋根と建物も構造が変わり、地震や強風にも強くなります。防水紙も設置しました。
ガルバリウムの波板を固定するための桟(横方向の棒)を設けます。野地板に直接、釘止めするのではなく、この桟に固定することにより、防水紙に穴を開けることもなくなるので、寿命も長くなります。
野地板を新設しての屋根の部分葺き替え、竣工
これで雨漏りとは無縁の納屋へと生まれ変わりました。雨漏りしませんので、大事なものも収納して置けます。土地があり、こういった建物の使い方をできるのはある意味、かなりの贅沢です。
屋根葺き替え時に増し張り
使用屋根材 横暖ルーフ
築年数もかなり経っており、現在、雨漏りに悩まされているということでした。これからも長く住むことになりそうだということで屋根をすべて新しくする屋根葺き替えを選択されました。地震にも強くということで、これまでコンクリート瓦よりも軽い金属屋根を選択になられました。
点検時の様子
雨漏り跡も残っており、カビも発生していますが、それほど酷いというわけではないようです。おそらく風向きなどによって雨漏りする時としない時があるのでしょう。小屋裏から大幅に改修するということはしなくても大丈夫でしょう。
セメント瓦の屋根ですが、汚れているのはともかく、一番の問題なのは漆喰がなくなりかけていることです。これでは瓦を支えきれず、大きな地震で棟が倒壊し、多くの瓦が落下するのではないでしょうか。雨漏りの他、こちらも問題です。
瓦を外壁に直付けしてある部分があります。その部分の隙間が空き、落ち葉が溜まっているという部分も見受けられます。かなり無理のある施工です。しかも谷になるようにつけられており、ここに水が溜まるのは明白です。こういった部分もしっかりやり直さなければなりません。
セメント瓦から金属屋根への葺き替え
瓦は不要となりますので、すべて撤去します。瓦を片付けていると防水紙が見えてきました。案の定、穴が開いています。見た感じは樹脂の防水紙のようです。
瓦を撤去し、防水紙を撤去したところ、野地板が姿を現しました。小幅板の野地板です。以外に綺麗ですし、ほとんど湿っていません。
構造用合板で増し張りします。サイズに合わせて切り出し、上から釘で留めていきます。これで構造的にも強い屋根になりました。
防水紙を全体に敷いていきます。問題のあった壁との取り合いですが、しっかりと処理していきます。今後、よほど古くならない限りはここから雨水が入るということはありません。
横暖ルーフSを葺いていきます。最近の成型金属屋根材は施工性に優れており、この工程はそれほど時間がかかりません。むしろ、取り合いの処理とかの方が時間がかかります。外壁との取り合いの処理ですが、現在の標準の施工である水切りなども設置していきます。より雨漏りしにくくなりました。
野地板の増し張りしての屋根葺き替え、竣工
棟に板金を付けたら、屋根葺き替えは完了です。この先のことを考えて雪止めも設置しました。外壁と下屋の取り合いは水切り金具を設置し、雨水が浸入しにくくなりました。これで雨漏りともおさらばです。天気を気にしない快適な生活をお楽しみください。
野地板についてのまとめ
●屋根材の下の防水紙の下にあるのが野地板で、ここに防水紙や屋根材が固定されています
●現在、野地板には構造用合板が用いられることがほとんどですが、古い建物だとバラ板が用いられていることもあります
●燃えにくい耐火野地板も存在します
●野地板のメンテナンスには増し張りと張り替えがあります
●野地板の耐用年数は30年と言われていますが、雨漏りなどで吸水してしまうと極端に短くなります