丸の内駅舎の屋根材は創建時、戦後の修復時ともに天然スレートが使われてきました。
天然スレートは粘板岩という天然の石を薄く板状に加工したもの。
一般住宅の屋根材として使われる人工スレートとは違い、希少で非常に高価なもので、歴史的な建築物によく使われているのです。
復原プロジェクトでは、屋根材には既存の屋根のスレートをできるだけ再利用することになりました。
駅舎から取り外したスレートは天然スレートの産地・石巻市雄勝の業者で洗浄や補修をし、約13万枚が復原用の屋根材として使われる予定でした。
作業を終えたものから納品し、残り半分のスレートの納品を間近に控えた2011年3月11日、地震と津波が東北地方を襲いました。
石巻市の津波の被害は壊滅的なもので、スレートを保管していた倉庫も流されてしまいました。
それでも、業者の社長やスタッフの必死の努力により、約7割のスレートが回収でき、東京へと送ることができたのです!
復興のシンボルとしての屋根
丸の内駅舎の屋根の復原工事では鉄骨の骨組の上に木で屋根の下地を作っています(ドーム部分の骨組は曲線状の鉄骨を組み上げたもの)。
屋根下地の上には野地板を貼り、一文字葺きという葺き方で天然スレートを葺いていますが、これは横方向のラインが特徴的な葺き方です。
東京駅の屋根の復原は長い間失われていたドーム屋根を復活させることでした。
約70年ぶりに辰野金吾が設計した美しいスレート屋根が蘇ったのです。
津波に耐えたスレートは中央部の屋根に使われています。度重なる災害を乗り越え、現役であり続ける東京駅。
その屋根には、東北の復興のシンボルという意味もこめられています。
屋根・雨漏りなどに関するお問い合わせは街の屋根やさん岐阜店にお気軽にお問い合わせください。